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ダチョウの卵がアレルギーの原因“ハウスダスト”をやっつけます

2014/5/19

中特グループの株式会社中特ホールディングス(山口県周南市)では
現在、下松市東海岸通りの「下松リサイクル工場」でダチョウを飼育し、
スーパーや飲食店から廃棄食品(野菜くずなど)を餌として活用した
“食品リサイクル”を実施しております。

ダチョウが産んだ卵はこれまで、菓子製造店にお願いしてケーキなどに
加工してきましたが、今回、ダチョウの卵を活用した新規有用素材の
開発に成功いたしましたので報告させていただきます。

 具体的には、様々なアレルギー疾患を誘発するとされる
“ハウスダスト”に対する抗体をダチョウにより大量作製し、
家庭用品へと商品化することに成功いたしました。
このダチョウ抗体原料を用いることで、ハウスダスト対策用のスプレー剤、
化粧品、空気清浄機フィルター、マスクなどの開発が可能となります。

 本件は、京都府立大学生命環境科学研究科動物衛生学研究室との
産学連携による研究成果であります。
京都府立大学(京都市左京区下鴨)では、ダチョウを用いて
有用抗体の低コスト大量作製法(従来の4000分の1の低コスト化)の開発に
成功し、様々な感染症の防御用素材の開発を行っております。
すでに、ダチョウ抗体を用いたマスク(ダチョウ抗体マスク)や空気清浄機が
鳥インフルエンザや新型インフルエンザそして季節性インフルエンザウイルス防御用として販売されております。

 ハウスダストとは、室内塵のことで、アレルギーを引き起こす
数種類のアレルゲンが混合したものとされています。
動物やヒトのフケ、カビ、ダニおよび細菌などが混ざったものです。

ハウスダストアレルギーと言った場合、その実態の多くが
チリダニ(House dust mite)の仲間の虫体および糞などが細かく崩壊したものに
対するアレルギーであることが多く、ダニアレルギーとほぼ同義であると
されています。
ハウスダストは、通年性のアレルギー性鼻炎、気管支喘息や、
アトピー性皮膚炎などの主な原因とされています。

 私たちは、ハウスダストアレルゲンに対する抗体を用いれば、
アレルギーの予防や症状の緩和を行えると考えました。
ハウスダストアレルゲンを抗体が包むことにより、
人体が“ハウスダストが来た”と認識しなくなるため、
アレルギー症状が出なくなると想定されます。

「実施例」
最初に、ダチョウの雌にハウスダストアレルゲンを接種します。
そうすると約2週間後からダチョウの体内にハウスダストに結合する
抗体が産生されはじめます。
雌ダチョウの場合、抗体が血液から卵に濃縮移行しますので、
産まれた卵にはハウスダストに対する抗体が大量に存在します。
私たちが開発した卵黄抗体精製技術を用いて、卵から高純度の
ハウスダスト抗体を大量に回収します。
この抗体を化粧品、スプレー、噴霧剤、空気清浄機用フィルターや
マスクに搭載することで、ハウスダストによる種々のアレルギーを
予防・抑制します。

 結果的に、1個のダチョウ卵の卵黄から2〜4gの抗体が精製され、
ハウスダストアレルゲンとダニアレルゲンに反応することがわかりました。
また、この抗体をハウスダストアレルゲン浸透濾紙(診断用の円形ディスク)に
添加し、アレルギーの人に塗布したところ、非常に興味深い結果を得ました。

 ハウスダストアレルゲンを染み込ませて乾燥したディスク濾紙に
PBS(リン酸緩衝液)、またはダチョウ卵黄抗体(ハウスダストアレルゲンを
免疫して作製したもの)を添加し、室温で10分間放置しました。
その後、ディスク濾紙をハウスダストアレルギーボランティア(ヒト)の
下鼻甲介粘膜に付け、5分間放置し、臨床症状(鼻内掻痒感、くしゃみ、
水性鼻漏、粘膜腫脹)の有無を観察し、症状別の発現率を算出しました。

 結果として、ダチョウ抗体を添加することでハウスダストおよびダニによる
アレルギー反応が高率に抑制されました。
抗原抗体反応の結果、アレルゲンをダチョウ抗体が覆い隠すために、
ヒトの体がアレルゲンと感知出来なくなるものと考察されます。
 ダチョウが産む卵から精製できる抗体は卵1個につき最大約4gになり、
最大で約8万枚のマスク分に相当します。
個体差はありますが、ダチョウは年間平均で100個ほど産卵しますので、
1羽から最大800万枚程のマスクが作製出来ます。 
ダチョウ卵黄抗体は哺乳類の抗体作製コストの約4000分の1で済みますし、
寿命が約60年と長寿ですので、同じ品質のものを
大量に商品化することが出来ます。

マウスやウサギを用いる時のように生命を犠牲にして
血液から抗体を回収するのではなく、
ダチョウの場合は単に産まれてくる卵(無精卵)を
採取するだけで済みます。
一般に抗体はタンパク質で非常にデリケートなものですが、
ダチョウ抗体は熱に強く、酸・アルカリにも強いことから、
マスクやフィルターなどを加工する際の
様々な製造ラインにも導入出来ます。

 現在、莫大な数の日本人がハウスダストに起因する
アレルギー(アトピー、喘息など)で苦しんでおり、
その苦痛やストレスによる日本全体の
経済的ダメージは大きいとされています。

それらの現状を考え、ダチョウ抗体を搭載した
ハウスダスト対策用スプレー剤が産学連携開発(京都府立大学、
オーストリッチファーマ株式会社(京都府精華町けいはんなプラザ)、
ジールコスメティックス株式会社(大阪市)、中特ホールディングス)により
誕生いたしました。

商品化例
ダチョウ抗体スプレー
 (商品名Alleprotect)

6月中には山口県内の大手ドラッグストアにて販売を開始いたします。
また、シンガポールのZグループ・クレセンダスG社
(シンガポールの特区・バイオポリス)を拠点とし、
アジア諸国でも販売を開始いたします(9月を予定)。

加えて、ハウスダスト対策用の化粧品(アトピー用)や
マスク(気管支喘息やアレルギー性鼻炎対策)、
さらに空気清浄機も本年末を目処に商品化いたします。 

 ダチョウがアレルギー大国“日本”の救世主となる事を信じております。
また、山口県発の研究成果がアジア諸国で活躍出来ることを期待しています。
まさに、“ゴミ”から“新規有用素材”の創出です。
ダチョウと食品リサイクルのコラボレーションが
人類の役に立てますことを嬉しく思います。

少しでも私たちの食品リサイクルとダチョウ研究に
興味を持っていただけますと幸いです。

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